2007年3月24日 (土)

代理母

 依頼されていた原稿の書き直しなどあり、少しブルーな気分です。またあと2週間で新学期が始まることを考えると、まおブルーです。

 昨日(23日)に「代理母」出産について、生まれた子の母親は生んだ女性である、という最高裁決定が出されましたね。現行法の規定を土台に考えれば当たり前の決定ですが、現行法は、<子どもをもちたいと思う女性=受精卵の提供者=実際に出産する女性>これらが同一人物であることを前提にしています。

 わたしは、先日、勤務校で実施した新入生に対する「プレ・スチューデント・プログラム」でもこのことを話しました。生殖技術の進歩、生命倫理に関する価値観の変容などを受けて、これらの前提を根底から再考することが、いま問われているのだと思います。現在の枠組みを維持するにせよ、変更するにせよ、考えてみなければならない未解決な問題として「代理母」の問題が浮上してきているのでしょう。

 【マイ・ライブラリー/最近の配架】

Cimg0654  左はロック【著】、鵜飼信成【訳】『市民政府論』(岩波文庫、1968年)です。読み直そうと思ったのですが本棚のどこを探しても見当たらないので購入し直しました。そういえば、モンテスキューの『法の精神』もそっくりなくなっています。誰かに貸したのかな?。

 右はRainer Forst, Contexts of Justice:Political Philosophy beyond Liberalism and Communitarianism (University of California Press, 2002)です。

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2007年1月12日 (金)

平成17年度重要判例⑨、民法772条

 講義が再開され、やがて1週間が経とうとしています。みなさま、もう調子は戻りましたか?

 わたしは日頃の雑用に追われつつ、ようやく次週のゼミの予習を終えました。

 次回ゼミの課題は、刑事裁判における証人尋問に関して、刑事訴訟法157条の3に規定された「遮へい措置」および同法157条の4に規定されている「ビデオリング方式」が憲法82条1項および同37条1項に規定されている「公開裁判の原則」に反しないか、また、憲法37条2項前段にいう被告人の証人審問権を侵害しないかが争われた最高裁平成17年4月14日第1小法廷判決です。事実の概要はここです→「17.4.14.pdf」をダウンロード

 ところで、例によってネットサーフィンしていたら、民法772条をめぐる「不都合」が報じられていました。

 民法772条は「嫡出の推定」に関する規定ですが、その2項で「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」と規定しています。憲法の講義で話したように、この規定があるので民法733条1項では女性にのみ再婚禁止期間(6ヶ月)を設けているが、女性のみが懐胎・出産する「生物学的な性」にもとづく男女の区別であり合理的理由のある区別だといえるので、憲法14条で禁止された(不合理な)差別には当たらない、というあの議論に関係している規定です。

 この規定が婚姻解消の後300日以内に出産した子は前夫の子であると規定しているだけに、いま問題になっているようです。これによれば、再婚禁止期間経過後再婚し、現夫との間でもうけた子が前婚の解消後300日以内であったとしたら、ひとたび前夫の戸籍に入れて、その後、家庭裁判所で前夫との間での親子関係不存在の確認や嫡出否認の手続を取らなければならないようです。

 離婚相手に会い相談の上、一般には厄介であろう家裁での手続をお願いしなければならないことはそもそも気が重いことでしょうし、それは「円満離婚」でない場合にはなおのことでしょう。

 「MSN毎日インタラクティヴ」に紹介されていた事例は、出産予定日に出産していれば離婚後300日をクリアできたのに早産してしまったために、離婚後291日目に出産してしまった(9日足りない)事例でした。

 このような事例に目配りした運用を法務省は考えるべきでしょうし、国会も民法改正などで対応する必要があるのではないでしょうか。

 【マイ・ライブラリー/本日の配架】

Cimg0466  本日は定期購読している岩波書店発行の月刊誌「思想」の2007年1月号(993号)を紹介します。今月号は「国際社会における正義」と題した特集号でした。

 ここには、トマス・ポッゲ「現実的な世界の正義」や、S・ファーブル&D・ミラーの共著「世界の文化的バイアス」という論文が収録されています。

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2007年1月 8日 (月)

ネット検索と著作権

 毎年のように報道される「荒れる成人式」をみて、今日が成人の日であることを思い出しました。便宜的に祝日の日が移されると、なぜ休みなのか忘れてしまいそうです。わたしは便宜的に祝日を移動できるのなら、元旦の祝日をやめ、5月1日に移動して欲しいとかねがね思っています。そうすると「国民の祝日に関する法律」の第3条3項の規定(その前日及び翌日が「国民の祝日」である日は、休日とする。)の規定により、4月30日も5月2日も休日になるからです。元旦はどっちにしろ休日でしょう。

 ことろで1月6日の朝日新聞に「ネット検索 データ収集 著作権許諾不要に」との記事がありました。安倍首相が本部長を務めている政府の知的財産戦略本部は、著作権法で著作者の許諾を得ずに複製や編集が認められる「著作権の制限」の項目(著作権法第5款)に「検索のための複製や編集」を加えることで、日本を拠点とするネット検索事業者を育てる政策に出ようというのです。この著作権法改正は年内にも行われるようです。

 そもそも米国ではこのような著作物の利用は「公正利用」(fair use)であり適法であると考えられているので、わが国の法律もそれに準拠しようというのでしょう。

 わたしは著作権法を表現の自由に対する規制と考えているので、著作者の権利保障と憲法上の価値とのバランスを取り直す今回のような法改正の提案には賛成です。

 【漫画本】 先週は『マスター・キートン』の第5巻を読みました。Cimg0448 このなかには「ハーメルンの笛吹男」を題材にしたストーリーもあり、いつものように「文化的」でした。

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