3連休、みなさん、どのように過ごされましたか。
大学教員はまだまだ忙しく、後期の成績評価は終わりましたが、今週には修士論文の最終試験(口頭試問)があります。そのために、論文の評価をしなければなりません。
ところで、この週末を利用して、佐藤 優『国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社、2005年)を読みました。著者は、日本とロシアとの外交を舞台として、具体的には背任と偽計業務妨害罪に問われている外務相職員(起訴休職中)です。
この本では、まず前半で、対露外交をめぐるインテリジェンスの状況が生き生きと描かれています。また小泉政権での<田中眞紀子外相-著者の盟友鈴木宗男衆議院議員-外務省という組織>というトライアングルの中でなにがあったのか、ということが明確に記述されており、読む者を飽きさせません。
さらに本書の焦点である著者の主張は、後半部分で扱われています。著者は、対露外交をめぐる著者自身の逮捕(およびそれを機縁とした鈴木宗男衆議院議員の逮捕)は、「国策捜査」であったとしています。
著者は、2000年までに日露平和条約を締結するという時の政権の国策のために、手段を選ばずに奔走したことが、今度は別の国策で逮捕されたとしています。この別の国策というのが日本の「ハイエク型新自由主義」への転換としているところなど、さらに検証されるべき点が多いとは思いますが、将来外交官をめざす若い諸君にとくにお薦めいたします。
2030年には、当時の外交文書の秘密期限が切れて、公開されることになります。「正当に業務を遂行する特殊情報を担当する外交官を国策捜査で逮捕したことにより、『日本の対外的信義・信用が著しく損なわれた』」(388-389頁)とする著者の結論が、本書における著者の記述およびとともに検証されるのは、それからとなるでしょう(ただし、著者も言うように「外務省から本事件や鈴木宗男氏、東郷和彦氏、私に関連する文書が消え去ってしまわない限り」(388頁)ですが……)。ただ、往時なにがあったのかということの歴史的価値に気づかせた本書の意義は、非常に大きいと思います。
【マイ・ライブラリー/最近の配架】
日垣 隆『個人的な愛国心』(角川書店、2007年);中野剛充『テイラーのコミュニタリアニズム:自己・共同体・近代』(2007年)。
また、有斐閣さまより、『小六法』の平成19年版をいただきました。この場をお借りして、御礼申し上げます。
さらに、甲斐克則【編】『遺伝情報と法政策』(成文堂、2007年)を、共著者の吉田仁美先生よりいただきました。ここに謹んで御礼を申し上げます。
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