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2007年1月12日 (金)

平成17年度重要判例⑨、民法772条

 講義が再開され、やがて1週間が経とうとしています。みなさま、もう調子は戻りましたか?

 わたしは日頃の雑用に追われつつ、ようやく次週のゼミの予習を終えました。

 次回ゼミの課題は、刑事裁判における証人尋問に関して、刑事訴訟法157条の3に規定された「遮へい措置」および同法157条の4に規定されている「ビデオリング方式」が憲法82条1項および同37条1項に規定されている「公開裁判の原則」に反しないか、また、憲法37条2項前段にいう被告人の証人審問権を侵害しないかが争われた最高裁平成17年4月14日第1小法廷判決です。事実の概要はここです→「17.4.14.pdf」をダウンロード

 ところで、例によってネットサーフィンしていたら、民法772条をめぐる「不都合」が報じられていました。

 民法772条は「嫡出の推定」に関する規定ですが、その2項で「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」と規定しています。憲法の講義で話したように、この規定があるので民法733条1項では女性にのみ再婚禁止期間(6ヶ月)を設けているが、女性のみが懐胎・出産する「生物学的な性」にもとづく男女の区別であり合理的理由のある区別だといえるので、憲法14条で禁止された(不合理な)差別には当たらない、というあの議論に関係している規定です。

 この規定が婚姻解消の後300日以内に出産した子は前夫の子であると規定しているだけに、いま問題になっているようです。これによれば、再婚禁止期間経過後再婚し、現夫との間でもうけた子が前婚の解消後300日以内であったとしたら、ひとたび前夫の戸籍に入れて、その後、家庭裁判所で前夫との間での親子関係不存在の確認や嫡出否認の手続を取らなければならないようです。

 離婚相手に会い相談の上、一般には厄介であろう家裁での手続をお願いしなければならないことはそもそも気が重いことでしょうし、それは「円満離婚」でない場合にはなおのことでしょう。

 「MSN毎日インタラクティヴ」に紹介されていた事例は、出産予定日に出産していれば離婚後300日をクリアできたのに早産してしまったために、離婚後291日目に出産してしまった(9日足りない)事例でした。

 このような事例に目配りした運用を法務省は考えるべきでしょうし、国会も民法改正などで対応する必要があるのではないでしょうか。

 【マイ・ライブラリー/本日の配架】

Cimg0466  本日は定期購読している岩波書店発行の月刊誌「思想」の2007年1月号(993号)を紹介します。今月号は「国際社会における正義」と題した特集号でした。

 ここには、トマス・ポッゲ「現実的な世界の正義」や、S・ファーブル&D・ミラーの共著「世界の文化的バイアス」という論文が収録されています。

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